リンリンは泣きながら雪だるまをつくっていました。明後日は春節なのに、遠い街へ働きに行ったお母さんがまだ帰って来ないのです。
今年は南のほうでたくさん雪が降ったので車も電車も止まっている。だからいつお母さんが帰られるかわからない。
毎年春節のわずかな間しか家に戻ってこられないお母さん、一緒にいられる時間はあっという間に過ぎてしまう。
それなのに今年はもっと短くなるし、いつになればお母さんに会えるかもわからないなんて。リンリンは涙をぽろぽろ流しながら雪だるまを作りました。
大雪はまだまだ降るかもしれない、そんなことになればとうとうお母さんに会えなくなってしまう。
涙が雪だるまに吸い込まれます。雪だるまの顔はお母さんの顔に見えます。雪だるまもリンリンをじっと見ています。

その夜、奇跡が起きました。こんこんと降り続く雪の向こうから、リンリンは遠くからお母さんの声を聞いたのです。リンリン、リンリンと呼んでいます。
なつかしいお母さんの声に違いありません。お母さんはとうとう帰って来てくれたんだ。リンリンは急いで窓の外を見ました。
でも不思議なことにお母さんの声は近づいて来るのになぜか姿が見えないのです。リンリン、リンリンと呼ぶ声だけが段々近づいてきます。
まるでそれは別の世界から彼女を探しているように聞こえます。
リンリンはやがてはっと気がつきました。
そして窓を開けて大きな声で叫びました。
「お母さん来ないで、ここに来ちゃだめ、ここはお母さんの来るところじゃないの。私のお母さんはまだ生きてるわ」
リンリン、リンリンと呼ぶ声はそれでもしばらく雪の野にこだましていましたがいつしか夜のしじまに消えていきました。
翌朝。真夜中に起きたバス事故で意識を失っていた一人の女性がベッドの上で目を覚ましました。
医者は言いました。
「よかったですね。あなたは頭を強く打ったので危なかったんですが、もう大丈夫ですよ。検査しましたが後遺症もないと思います」
そして医者は彼女の荷物の中に可愛らしい人形があるのに気がつきました。
「あ、それは娘さんへのお土産ですか。早く会えるといいですね」
リンリンのお母さんは幼い頃に亡くなってしまった娘のお墓に備えるための人形をじっと見つめていいました。
「そうですね、いつかきっとまた会えると信じています」<br>
雪の夜は明けてきれいな日差しの朝でした。


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