最初に言っておくが、一番変な日本語教師はもちろん私である。
私は人と同じ事をするのが昔から嫌いだった。だから他の教師がしないような奇抜な教え方を試すのが大好きなのである。 これはもう一生治らない。
さて、私以外にも変な日本人教師は少なからずいる。
私の20年近くの教師体験の中で出合った変な日本人教師を何人か紹介しよう。
まず以前の同僚D先生。
この先生は日本の超有名企業出身で、コンピュータ関係の専門家だった。
だから学校での成績は良かったと思う。
だが、私から見ると人と接する場合の融通があまり効かない人だった。
普通の日本語教師と言う者は、外国語の意味を説明する際に、元々の表現を噛み砕いてできるだけ簡単な言葉で説明するものであろう。
しかしD先生は逆だった。
テキストの普通の日本語の文章を、更に硬く専門的な文章語で生徒に説明するのである。
生徒のレベルが中級以上なら、まだ少し理解できたかもわからないが、せいぜい初級が終わったばかりという生徒に対しても難解な言葉を使いまくる。
それでもDさん本人は自分の教え方に絶対の自信を持っているものだから、 態度だけは堂々としたものだ。だが生徒は意味もわからないままあっけに取られてぽかーんと聞いている。
今思えば、Dさんは魯迅の『孔乙己』みたいな先生だった。
その次はSさん。女性の日本人留学生である。
Sさんはそれまで教師の経験もなければ日本語教師の養成訓練も受けていなかったに拘わらず、上海の小さな民間の日本語学校にアルバイトとして採用された。
彼女は聴解の授業を担当したのだが、彼女がしたことはただ一つ。
カセットプレーヤーのボタンを押す事だけだったらしい。
以下は彼女の生徒だった中国人学生から聞いた話だ。
Sさんは授業が始まるとカセットプレーヤーを手にして教室に現れ簡単な挨拶をした後でカセットのボタンを押して聴解の問題を学生に聞かせる。
それ以外何もしなかったらしい。
途中で問題について解説をする、という事もしないで45分の授業は終わったらしい。
私はこの話を聞いた時、悪いのはSさんではなく、むしろその上海の日本語学校だと思った。
ただ外国人だから、というだけで素人を連れて来て教えさせるというのはあまりに無責任過ぎる。
その学校の名前は『新世紀日本語学校』。まだやってるだろうか。
外教日記其の四《変な日本人教師》
コメント